来生たかお『With Time』: 時を重ねる音楽
1988年にリリースされた
来生たかおの14枚目のオリジナル・アルバム『With Time』は、彼の音楽キャリアにおいて重要な位置を占める作品です。このアルバムは、アナログLP盤としてリリースされた最後のアルバムであり、CD、CT(
カセットテープ)も同時に発売されました。
タイトルに込められた想い
アルバムタイトル『With Time』は、「このアルバムを聴いている時は君と一緒」という意味合いが込められています。
来生えつこが用意した候補の中から、分かりやすさと字面の良さで選ばれました。当初は『SCENES』というタイトルに決定していたものの、類似タイトルのアルバムが先にリリースされたため、急遽変更されたというエピソードがあります。
ジャケット写真
ジャケットには、短髪の来生自身の写真が使用されています。これは、アルバムリリースに先立ち、テニスプレーヤーのペレン・フォースをイメージして髪を短くしたためであり、来生自身もこの写真を気に入っていたそうです。
アレンジと演奏
編曲者の「矢倉銀」は
来生たかおのペンネームであり、編曲に加わっている「スタートル」は来生のバックバンドです。アルバム全体を通して、
萩田光雄、
清水信之など、豪華なアレンジャーが参加しています。
収録曲について
アルバムには、
来生えつこ作詞、
来生たかお作曲によるバラエティ豊かな楽曲が収録されています。
語りつぐ愛に: 薬師丸ひろ子に提供した楽曲のセルフカバー。日本テレビ系ドラマのテーマソングとしても使用されました。
青いNovember: 第一生命のCMソングとしても使用された楽曲。
Silent Memory: TBS系テレビドラマの主題歌として使用されました。
水の消息: 来生えつこによれば、映画『
エンゼル・ハート』に登場するキャラクターがモチーフになっているとのこと。バックバンド「スタートル」と共に作り上げた楽曲です。
On The Line: テニス用語が散りばめられた歌詞が特徴的な楽曲。
Made In X'mas: 年末のコンサートで定番となっている楽曲。
復刻盤
『With Time』は、
1991年、
1995年、
2007年にCDとして復刻されています。
1995年には、歌手デビュー20周年を記念して高城賢によるデジタルリマスターが施されました。
参加ミュージシャン
大谷和夫、
永田一郎、
清水信之、松田真人など、豪華なミュージシャンが参加しています。ストリングスは加藤グループ、飛鳥グループが担当しています。
スタッフ
エグゼクティブプロデューサーは
多賀英典、ディレクターは高橋良一が務めました。ジャケットのアートディレクションとデザインは久米明仁が担当しています。
『With Time』は、
来生たかおの洗練された音楽性と、
来生えつこの情感豊かな歌詞が融合した、時代を超えて愛される名盤です。彼の音楽世界を深く理解する上で、欠かせない一枚と言えるでしょう。